今年ハマったもの

ポッドキャストを聴くようになって、音楽を聴く機会がメッキリ減ってしまっている。それでも今年熱心にきいてきたのが、Sharon JonesとCatherine Russellという二人の歌手。どちらもアルバムの枚数が4枚と3枚と余り多くないし、アメリカ人だが全米ヒットチャ…

外れものになるとも、はぐれものにならない

昨日金子光晴の絶望の精神史を読んだ。戦時中反戦反軍を貫き、戦後は浅薄な民主主義擁護者にならなかった詩人の自叙伝だ。大政翼賛会の文学版である日本文学報国会に転向した左翼文学者が雪崩を打って参加していった(壺井栄、中野重治など)のを尻目に、一…

共感できないもの

東野圭吾のミステリー小説「容疑者Xの献身」が映画化されたというテレビコマーシャルが流れた。いくつもの賞を受賞したベストセラー作品というのだが、私にはそうした賞賛に値する作品とは思えない。 まず、確かにトリックはよく練られていると思う。私も最…

共感の軸

以前から読んでおきたいと思っていた中西準子さんの「環境リスク学」(日本評論社)を読んだ。名前は一昔前、私がまだ「週刊金曜日」とそこに群がっていた自称「環境問題評論家」のほらに対抗して議論をやっていた頃、あるサイトを通じて知ったが、もちろん…

サルトルを遺伝子医学から読み解く

昨年末だいぶ苦しみながらサルトルの「実存主義とは何か」を読み上げた。今年は何とか時間を見つけて滝沢先生のサルトル論をもう一度読み直しながら、二人の理論の共通の基盤とすれ違っている核心を、デカルトのコギトに関わるところから考えてみたいと思っ…

「暴力批判論」(太田昌国著)を読む

きのう当直で眠れないままに「暴力批判論」を読んだ。著者は私のおおよそ一回り上だが、問題意識のかなりの部分を共有できていると思っている。今回も多くのことを教わったし共感できた。彼の視野にあるのは連合赤軍や9.11などに象徴される「民衆の対抗暴力…

喪に服す、あるいはハリーポッター再び

またまた一月以上日記を書かなかった。前回の日記を書いた直後、私が最も信頼していたI医師が急死された。仕事の中心になって働いていただいた医師の死は、私個人の精神的なショックであると同時に、病院にとっての大きな危機でもあった。何しろそのとたん病…