喪に服す、あるいはハリーポッター再び

またまた一月以上日記を書かなかった。前回の日記を書いた直後、私が最も信頼していたI医師が急死された。仕事の中心になって働いていただいた医師の死は、私個人の精神的なショックであると同時に、病院にとっての大きな危機でもあった。何しろそのとたん病院には私以外には常勤の医師がいない状態になったからだ。簡単に外出することも往診に出かけることもできなくなってしまった。仕事量は増えるし、プレッシャーも増してきた。当然のんびりと日記を書く余裕がなくなってしまった。
野辺の送りをし、新しい医師探しに奔走し、仕事をこなしてようやく一月たった。日増しに大きくなる孫に慰められ家族の支えがあって何とか過ごしてきた。
ぼちぼち新しいことをと思っても時間もなければ能力もない。ついでに体力もない(まだ踵が痛んでいるので)。ハリーポッターの最終巻を読んでから「もう一度一巻から読み直したい」と思っていたが、とてもそんなものに手をつけることはできない。そこで思いついたのがアイポッドのオーディオブック。これなら車を運転しながら聞くことができる。あの分厚い本を並べる代わりに、コンピューターに落とし込んでおけばいいので、場所も取らない。通勤時間がおおよそ30分強なので一週間で一巻を聞きとおすことができる。今までのところ1,2巻を聞いただけだが、『なるほどこれは後でこれこれの話とつながってくるのだな』と納得したり、結構筋を忘れていたり、思わぬ勘違いを発見したりといろいろ楽しめる。
作者=J.K.ローリングは、最近では発展途上国精神障害児がきちんとした治療の機会も与えられないままに、施設に閉じ込められていることを改善することを今後のテーマにすえているという。ハリーポッターシリーズもナチスに代表される民族排外主義への批判が底流をなしている。それは黒魔術を崇拝する人間たちがしばしば口にするpure
blood=純血がナチのスロ−ガンだったことからも伺える。何はともあれ時間もたった。ぼちぼち立ち直らなければ。