東国原という人物の賞味期限

東国原宮崎県知事が入閣するかもしれないという記事が今朝の毎日新聞の一面に出ていた。この記事を読んでふと昔のテレビドラマを思い出した。原題は「トワイライト・ゾーン」、日本では確か「ミステリー・ゾーン」と言っていたと記憶している。SF仕立ての毎回完結式のドラマで、皮肉の効いたしゃれた筋を毎回楽しんだ。その中に、ある老夫婦が「何でも願いを叶えてやる」という魔法使いにきりきり舞いさせられる話があった。一度は大金を魔法で出してもらって喜んだのもつかの間、税務署に目をつけられてすっからかんになる。最後の願いに夫が「実在した帝国の皇帝になりたい」という。その結果は、第三帝国の皇帝=ヒトラーが連合軍に攻められて最期の時を迎える、そのヒトラーになってしまうという形で「かなえられる」。
東国原氏の本音は大臣として国政に参与したいと言うことなのだろう。少なくとも彼はそう説明している。しかし彼を大臣として迎えようという麻生内閣は、ヒトラー最期の日ほど短くはないにせよ、どうがんばってもあと二月しか続かない。東国原人気にのっかって自民党が大勝でもしない限り、選挙が終われば総理大臣としての麻生太郎・麻生政権の任期は終わる。そもそもは選挙管理内閣だった麻生内閣が、大将が選挙をする勇気がなくてずるずると長引いただけの代物だ。また総選挙の後、果たして自民党政権が続くかどうかさえ怪しい。大臣=東国原氏はおそらく選挙に出れば当選はするだろう。その後に待っているのは単なる陣笠としての、何の権限もない東国原氏でしかない(「総裁候補」は選挙向けの空手形に終わるだろう)。宮崎の選挙区からではなく関東の比例区で出るらしい彼を宮崎県民はどう見るか。あの名台詞宮崎をどげんかせないけんがことさら白々しく感じられる。
私としても東国原氏の知事としての努力を完全に否定する気まではない。宮崎県の広告塔として驚異的なマスコミへの露出率で、特産品を売り込み観光客を引き込んだのは彼の業績だといえる。しかしそれもマスコミが、いわば「身内から出てきた県知事」として特別に注目し、動静を逐一伝え、テレビに芸能人だった時をしのぐほど出演させたからともいえる。特定のテレビ局が新聞社や一般企業と一緒になって「○○制作委員会」を作り、映画を売る手法によく似ていると私は思う。もうそのやり方も限界に近づいてきていると見える。
地元の人はどう考えているのかよく知らないが、あんなに毎週毎週テレビに出ていて県政をきちんとやれるとは思えないというのが率直な感想だ。

ここまで書いて突然閣僚の補充人事が発表された。結局彼の入閣はないことになった。はたしてあの記事は世紀の誤報だったのか、それとも麻生にそれだけの力がなかったのか、今となってはわからないが、どたばた劇を見せられていい加減うんざりだ。