マキが亡くなった

なんと半年ぶりの更新だ。この半年仕事が忙しいやら体を鍛えるのに必死になるやらで、とんと「ブログを更新しなければ」という気持ちがわかなかった。このまま自然消滅でも仕方がないなと思っていたんだが、さすがに浅川マキ死亡というニュースはショックだった。
私が酔った時にうたう狭いレパートリーの中に彼女の「カモメ」「夜が明けたら」がある。マキのデビューが1970年だから、ちょうど私が大学に入った年。ある集会で学生が「カモメ」を生ギターで歌ったのを聞いたのがはじめだった。実際にレコードを買い始めたのはそれから何年もしてから。おんぼろな、ただ音が左右から分かれて聞こえてくるというステレオまがいで、それこそすり切れるほど聞いた。けだるい雰囲気で歌う曲は無国籍的なものから、四畳半的な題材まで幅広かったが、魂が叫んでいると私の耳には映った。
デビュー当時からヘビースモーカーだった彼女(ジャケットの写真の半数ぐらいはたばこを片手に映っていたと記憶している)は、次第に歌うことをやめ、背景のメロディーに乗せて語るようになった。何枚かCDも買ったが、正直心に残るものはなかった。
何年か前ちあきなおみが浅川マキが訳詞した「朝日の当たる家」=「朝日楼」をうたっているのを偶然聞いて、その歌唱力・表現力に舌を巻いたことがある。ちあきなおみはうたうのをやめ、浅川マキは永遠にうたえなくなった。彼女の死亡記事には代表作として上の二曲があげられている。デビュー作が代表作というのも悲しいものがある。合掌。