へそ曲がりの虫がむずむずと

 先週の土日はしらけた気分でテレビの報道をみていた。ニュースでは東北に配備されたミサイルが空を向いている画像が流れていた。「臨戦態勢」などとう物騒な見出しもあったようだが、私にはどうにも現実感がない。まるでゴジラ映画を見ているような錯覚に陥った。
 北の独裁者がミサイルだか人工衛星だかを打ち上げるとしても、技術的に日本のどこかの目標をピンポイントで狙う技術はとてもなさそうだし、空から落下物が落ちてくるのを心配するのもばかばかしいとしかいいようがない。防衛省の幹部が「打ち落とせ」と怒鳴ったそうだが、日本にもミサイルを打ち落とすような技術もないことさえ今度のことで露見した。早い話が無理矢理「緊張状態」を演出したがっている連中の空騒ぎだったと思える。「落下物」を心配するなら、いままで何度も危険な落下物を落としてきた米軍基地にこそミサイルを向けるべきではないだろうか。オバマが気を悪くする?まそれはどうだかなー。
 しらけ気分は例の誤報で頂点に達した。翌日「飛翔体」が飛んだからこそ防衛省も突っ込まれるチャンスを失ったが、いったい誰がどういう間違いをすれば、くるはずのない米軍の情報が全国に流れたのだろうか。お粗末の限りだ。
 外国からの援助なしには満足に国民を食べされることのできない独裁者が、宇宙にものを飛ばして交渉を有利に進めようという魂胆の矮小さは言うまでもない。これを

宇宙の平和利用の条約上の権利
と援護する某進歩的文化人の頭の構造も私には理解不能だ。
 ここからは私の空想というか妄想のようなものだが、一連の騒ぎはひょっとしたら「トムとジェリー」の世界ではないだろうか。日米韓と北朝鮮は一見いがみ合っているように見えるが、今回の騒動でどちらかに大きなダメージは起きてない。アメリカにすれば沖縄の基地を縮小する方向には日本の世論は動かない効果が見込めるし、日韓の評判の悪い政権にとっても外に国民の目が向いてくれた方がいい。北朝鮮国威発揚と不満分子の封じ込めに効果があれば、政権の延命にもつながる。それこそ「仲良くけんかしな」だが、右往左往させられる国民はいい面の皮だ。
 謎の飛翔体では一人のけが人も出なかったが、沖縄では米軍関係者によると思われるひき逃げ事件が起きて3人がけがをしている。私などはへそ曲がりの虫がむずむずしてくるのだが。