物忘れ、言いたくはないが

最近ずいぶんひどい物忘れをするようになった。仕事柄いろいろ会議だとか人と会うだとか言う用事がある。患者さんのご家族に会うのも大事な仕事の一部。たまに間違えて二組の予定を同じ時間に入れてしまったりしたこともあるが、これは「申し訳ない」ではすまない。そこで今使っているのが ポケットPC。紙製の手帳でもいいのだろうがスペースが限られてるし、PCだとアラーム機能がついているので予定が入っていることをあらかじめ教えてもくれる。
ところが元々が物忘れがひどいためにとった苦肉の策。肝心要のポケットPCをどこかに置き忘れてしまうという失態を演じてしまった。たった今誰かに会う約束をしていたかどうか記憶にない。今日の予定がわからない。その上予定表以外にため込んでおいた仕事上のデーターがなくて困ってしまう。幸いPCにはロックをかけていたので誰かに拾われてもそう簡単には悪用はされないだろうし、個人情報のたぐいは入れていなかったが、うっかりではすまないことだ。買い直そうかとも思ったがそれもしゃくだし、もったいない。一週間ほどしてひょっこり出てきたときは本当にほっとした。家人はその間私が「とっても機嫌が悪かった」と言っている。仕事の効率もがた落ちでほとほと困ってもいた。デスクトップにデーターをこまめにバックアップしておかないと大変なことになるなと実感した。
さて物忘れしやすいのは私のような市井の人間だけではないようだ。選良=政治家の先生方の中にもずいぶんひどい物忘れをする方がいらっしゃるようだ。一年ほど前のことだ。ガソリン税暫定税率を延長する法案が参議院で否決されガソリンの価格が下がったときのことだ。つぎのような御高説を述べられた政治家がいらっしゃった。

資源がない日本は、イギリス型の環境保全国をめざさなければなりません。それなのに、4月1日からのガソリン値下げはアメリカ型の消費大国を容認するようなものです。京都議定書の議長国がこれでは困ります。ここのところを民主党はどう説明するのかなと質疑を聞いていて思いました。
同じようなことを福田首相(当時)も述べている。ただ一年前にぼんやりの私でさえも、そのガソリン税が高速道路を造ることに使われているのは「環境対策」になっていないことは気がついていた。さて昨日今日はマスコミがこぞって、麻生総理(一部でアホーバカタロウと陰口も叩かれているらしいが)のおかげで高速料金が下がり、そのために高速道路を利用する観光地が大賑わいだと伝えている。環境に優しいグリーンな自民党の総裁がこんな政策をとっても与野党から批判が出てこないのは、いかがなものか(マスコミ流(笑))。ずいぶんひどい健忘症にかかってはいないだろうか。ひょっとして過去にこだわらない柔軟な思考力こそが政治に必要なのかもしれないが、傍目にはいささか病的にも映るのだが。