ジョージ・オーウェルとイギリス秘密情報部

昨日だったかBBCポッドキャストを聞いていたら動物農場1984の作家として知られるジョージ・オーウェルが20代からイギリス秘密情報部から共産主義者、ロシアのシンパとしてマークされていたという話があった。これには私もふき出してしまった。
スペイン内戦をあつかった初期の優れたルポルタージュであるカタロニア賛歌は、フランコそっちのけでトロツキスト狩りに狂奔した当時のスターリニストに対する厳しい批判の書である。また「1984」もスターリン体制からいまでは北朝鮮に至る、全体主義国家による情報管理、洗脳の醜さ、非人道性を暴いた作品である。未だに諜報機関による市民監視をアメリカ、イギリスでは「1984」の言葉を借りてBig Brotherというほどだ。
代表作=「動物農場」にはもっとおもしろい話がある。ジョージ・オーウェルがこの作品を上梓したのが第二次世界大戦直後。ところがこの本を出版する会社をなかなか彼は見つけられなかったという。当時イギリスにとってソ連は一緒にヒットラーと戦った同盟国。そこの元首をこともあろうに豚になぞらえるとはけしからんという強い批判が出版が忌避された原因だった。私の見る限りジョージーオーウェルは反体制作家ではあっても共産主義者であったためしはない。ちょうど松下先生が赤軍シンパでなかったのと同じことだ。
太平洋戦争末期、日本の特高警察は総理大臣経験者であった近衛文麿を「アカ」の疑いでひっぱろうとしていたというが、諜報機関にはどこか距離感の抜けた部分があるのだろうか。