「テロ支援国家指定」というごう慢

アメリカが北朝鮮と核無力化で合意しいよいよ「テロ支援国家」というレッテルの解除が日程に上ってくるらしい。日本では「拉致問題はどうなるのか」という声が出てきているようだが、軍事的にも政治的にも追い詰められたブッシュ政権に、安部ちゃんのことを気にしてくれる余裕がどこまであるかは、きわめて怪しいと私は思う。
しかし、とまたまたへそ曲がりの虫がむずむずと動く。いったいどこの国がよその国をつかまえて「お前はテロ支援国家だ」なんていう資格があるのだろうか。ましてやあのアメリカが?
言葉通りにとれば、アメリカは世界に冠たる「テロ支援国家」だ。キューバ革命以来、アメリカが亡命キューバ人をそそのかして、カストロの暗殺計画を何度も企てたのは周知の事実。外国の元首を殺そうというのが「テロ」に当たらないというのは、どこをどうひっくり返してもまったく理屈に合わない。にもかかわらず、この暗殺計画を阻止しようとしたキューバ人を、アメリカ政府は「テロリスト」として何年も刑務所に閉じこめている。こういうのをふつう「石が浮かんで木の葉が沈む」というはずだが。
中南米アメリカに逆らう政権ができると、たとえその政権が選挙で国民から選ばれたものでも、何とかしてクーデターででも転覆させようという陰謀がCIAあたりで企てられ実行に移された。
数え上げればきりがないが、どんなに威勢のいいアメリカのメディアも、こうした問題にはぴたりと口を閉じてしまう。そのアメリカのレベルに遙かに及ばないのが、日本のメディア、とまた悪口になってしまった。