タミフル問題への覚え書き。
はじめにタミフル問題について、私が浜六郎氏の議論に異議があるのは以下の点。
- 彼はタミフルを飲んだ患者のほうが脳障害を起こす確率が高くなるのは、服薬直後であるという。しかし、もしこの薬が脳に悪影響を及ぼすのならば、服薬直後だけでなくその後も一貫して脳障害の確率が高くなるはずである。
- ところがタミフルを飲んだ患者と飲まない患者では脳障害の発生頻度に差がないことが確認されている。もしそうならばタミフルを飲んだ人は、日にちがたてば脳の障害を起こす確率が低くなることを意味するはずである。
- 自分にとって都合のいい時期のデーターだけを掲げて、「タミフルは危険だ」という台詞は、一昔前の製薬会社の「○○という薬はこの病気のこういう症状に効果がある(ほかの症状には効かない)」とか「投与期間が長くなるほど効果が出てくる(効果のない患者は薬をやめてしまうから母集団中の有効群の率が上がる)」という宣伝そっくりだ。
- そもそも人が集めてきたデーターを元にして、しかも調査方法に問題があると批判を加えているのならば、その結果を基に確定的なことがいえないぐらいはわかるはずではないか。
- タミフル問題は別にしても、日本人でインフルエンザにかかると脳障害を起こす人が多いことは事実らしい。その原因が日本特有の医療慣行(世界中のタミフルの八割が日本で消費されている)の問題に基づくものなのか、それとも日本人がインフルエンザに弱い体質を持つのか、それともまったく別の因子が関係するのか、それは事実に立脚して追求されるべきであって、あらかじめできあいのシナリオを当てはめるべきではないと思う。