:[本][身辺雑記]ブンガクに眼覚める
相変わらずポッドキャストで本の朗読を聞いている。おとといは当直で、そのうえ野球はひいきチームがひどい試合をやっていたので見る気力もなく、4時間以上ぶっとおしで「ジェーン・エア」を聞いていた。中学生の頃からブンガクのほうは遠ざかってきたのでこれは読んだこともなかったが、ストーリ−の展開もおもしろいし、文章がとても詩的でわくわくする。これはたぶんに朗読する人間の能力にも関係するのだろう。この前がアメリカ初の黒人文学といわれる「The Autobiography of an Ex-Colored Man」。陰惨な集団リンチの場面が印象的だった。これが半世紀前のアメリカの姿だったことを考えると、私はやはり世の中は変わっていくんだ、変えられるんだということを信じたいと思う。
本来耳で聞くより目で読んだ方が早いのだが、先日から読み始めた心理学の本がひどく読みにくい。誤訳、愚訳の連発でそのたびに訂正を入れないと気がすまなくなる。原書は読んでいなくても、ああ、ここはこう間違えているのだというのがわかるからまだ意味がとれるが、そうでないと判じ物だ。たとえば「immune」という言葉がある。これはふつうは何々に抵抗力がある、免疫があるという意味で使われるが、法律用語として罪を免れる、免責されるという意味がある。

反証からの主張に対して免疫を作る
というのは何となくわかるが日本語ではないと思う。
ずいぶんむかしある大学の研究者が出版する本のゲラと原文を一緒に見せてもらったことがある。平易に書かれた文章が寝言のような形で訳されているのを見て、どうやらこの研究者は原文をきちんと理解できていないらしいとおもった。
そういえば、ドストエフスキーの本てどうしてあんなに読みにくいのだろうか。外国のそれもかなり昔のことだから描かれているものになじみがないのはわかるが、それでも情景がさっぱり頭に浮かんでこないのは読み手の責任だけではないように思うが。