[社会]馬鹿は死んでも直らないということ

今朝の毎日新聞の北九州版を開いて驚いてしまった。我が家は二世帯同居で両親は西日本新聞というローカル紙をとっている。その一面にでかでかと載っている記事が、毎日新聞のほうには一言も触れられていないことが原因だった。その記事とは「外務省機密漏えい事件」で、西山元毎日新聞記者が国を相手に損害賠償を求めた裁判の判決がでて、西山氏が敗訴したというものだ。
30年以上前の出来事でご存じない方もいるかもしれないが、これは1972年の沖縄返還にあたり、当時沖縄を占領していたアメリカが施政権を日本に返還する際に、本来アメリカが負担することになっていた費用の一部を、こっそりと日本政府が肩代わりするという密約が結ばれていた。それをすっぱ抜いた西山記者が、ニュースソースであった外務省の職員と男女の仲になっていたというスキャンダルのため新聞社を馘首になり、国家公務員法違反で逮捕起訴され、有罪にさせられた。後に2000年にアメリカで過去の外交文書が公開されて、確かに密約が存在したことが明らかになった。きわめて重大な言論弾圧であるこの事件で、本来会社を挙げて記者および取材源を守るべき立場であった新聞社が、逆に権力に手を貸したことはメディアの死を意味する。
電子版で見た限りでは毎日はふれているが朝日新聞讀賣新聞は黙殺しているようだ。田舎なもので夕刊が配られないから、あるいは昨日の夕刊に記事が載っていたのかもしれないが、マスメディアの死に絶えた状況を写す寒々しい風景と私には見える。